『要件定義のコスト(工数)算出』PMで成功したいなら取り組んでおくポイント!
要件定義では、RFPでは予想できなかった仕様が、明確になるものです。
プロジェクトにおいて、計画コストをオーバーすることは赤字プロジェクトと言います。
コストオーバーは、開発の各工程で発生する可能性を秘めています。
この時の原因は、
①追加仕様によるコストオーバー
②スキル不足によるコストオーバー
③見積もりミスによるコストオーバー
④リスク工数の不備によるコストオーバー
⑤その他このようなことが考えられます。
また、開発工程で見た場合に『要件定義工程』でのコストオーバーを経験されたPMも多いとのことです。
それは、RFPでは予想できなかった仕様(機能含む)が、明確になることが原因だからです。
意外にも、このことを認識して『要件定義工程のコスト(工数)』を算出しないPMが多いって、ご存知でしょうか?
■今回のテーマ
プロジェクト計画における『工数の算出』の検討の中で、『RFPから必要とされる仕様(機能)を予測できなかった』ことにより、要件定義工程で、『要件が明確になったことによりコスト増加』という問題が起こりました。
この問題を取り上げて、原因の追求、解決策、リスク対策を解説していきます。
※プロジェクト検証の結果をお伝えするにあたり、架空の企業である「株式会社XYZ」での出来事として紹介します。
prologue
【プロジェクト状況】
要件定義の最終日に、要件を明確にした結果、RFPでは予想できなかった多くの機能が必要となったことから、プロマネ初心者の佐藤は『コストの増加』を依頼したが、クライアント窓口の木村の回答は、『我々は要件を追加していない。当初の計画通り進めて欲しい』と要望された。
プロマネの佐藤は、状況の把握をしていますが、具体的な問題が分かっていません。
そのため、PMOの私へサポートを求めてきました。
(以降のSTEP1-STEP4はPMOが実施しました)
STEP1:問題の設定
そして、『要件が明確になったことによりコスト増加』、このように問題を設定した。
STEP2:原因の究明
この問題は、コスト目標である予算を逸脱している。
そこでPMOの私は、原因の仮説を立て検証を行った。
【原因の仮説】
(1)要件の追加に伴うコスト見直しのルールが無い
(2)RFPに記載されていない要件が追加された
(3)コストインパクトの大きい要件を把握していなかった
そして、仮説に対して調査を行い検証した。
【仮説の検証】
(仮説1)要件の追加に伴うコスト見直しのルールが無い
▷プロジェクト計画書にコスト見直しルールの記載があったか?
➡︎YES
(仮説2)RFPに記載されていない要件が追加された
▷追加された仕様が議事録、メールなどに記録されていなかったか?
➡︎YES
(仮説3)コストインパクトの大きい要件を把握していなかった
▷課題管理表に、コストインパクトの大きい要件が記録されていたか?
➡︎NO
問題の根本的な原因は、『仮説3』と判明した。また、プロマネ初心者の佐藤は、コストインパクトの大きい要件を理解していなかったことが分かった。そして、不測の際のリスクバッファー工数も間違ってた。
STEP3:解決策
この問題を放置することは、デスマーチプロジェクトの危険があるため、PMOの私は解決策を3つ考え、プロジェクトオーナーの山田と協議した。
【解決策の候補】解決策A:
コストを増やした機能を含めて、再度見積もりを行う。
解決策B:
コストを増やした機能は、基本機能のみをスコープ対象とする。
解決策C:
コストを増やした機能は、基本機能のみをスコープ対象として新たに追加費用を請求する。
調査の結果から、コストインパクトの大きい要件を理解していなかったこと、不測の際のリスクバッファー工数を間違えていたことが分かっている。
その状況をプロジェクトオーナーの山田へ説明し、山田の意向を踏まえ解決策を決定した。
【採用した解決策と採用の根拠】
山田の意向は、基本機能のみをスコープ対象とすることに問題ないが、リリース日の延期は避けて欲しいとの要望があり、『解決策B』を採用した。
【解決策の実行に伴うダメージ】
また、今回の解決策を実施したことで、ITベンダーに、修正作業のメンバーの増員による工数が30%超過した。
今回の問題における原因は、コストインパクトの大きい要件を把握していなかったということである。今後、このような事態を避けるために、以下を教訓とした。
【教訓】
(1)プロジェクト計画で、RFPに記載は無いが必要となる機能を予測して、クライアントと計画を協議する。
(2)要件定義で、コストインパクトのある要件が発生した段階でクライアントと協議する。
STEP4:リスク管理表の作成
最後に、今回プロジェクトで起こった問題を課題問題整理表に記述し、今後のプロジェクトの教訓として役立てるためにリスク管理表に記述した。
このリスク管理表は、ITベンダーのプロジェクト情報として保管され、他チームへの情報共有として利用することになった。
最後まで、読んで頂き有難うございました。
今後の貴方のプロジェクト活動の参考になれば幸いです。
このトラブルプロジェクトは私が対応しました!