『リスクを見つけて影響度を決める』プロジェクトを成功させるためのリスク管理表のコツ!
リスク影響度を正確に押さえないとトラブルから抜け出せません!
✅リスクの洗い出し、優先度をつけるのが苦手な方
✅PJリスクを集めているPMやPMO
✅プロマネ初心者を抱える管理者
にお伝えしたいプロジェクトリスクの情報です。
■今回のテーマ
プロジェクト計画における『リスクマネジメント計画の作成』の検討の中で、『リスク優先度の設定方針を決めなかった』ことにより、『プロジェクトが停滞』という問題が起こりました。
この問題を取り上げて、原因の追求、解決策、リスク対策を解説していきます。
※プロジェクト検証の結果をお伝えするにあたり、架空の企業である「株式会社XYZ」での出来事として紹介します。
prologue
【プロジェクト状況】
現在のプロジェクトは、結合テスト工程である。当該工程の所要期間を10%消化した時点で、不具合が多発したことから、リリース日に間に合わないというリスクを想定し、プロマネ初心者の佐藤は『リリース日の延期』を依頼した。
しかし、クライアント窓口の木村の回答は『今までリスクを共有されたことがない。本件がリスクなら、最初に影響度を教えて欲しい』と要望された。
プロマネの佐藤は、状況の把握をしていますが、具体的な問題が分かっていない。
そのため、PMOの私へサポートを求めてきた。
(以降のSTEP1-STEP4はPMOが実施した)
STEP1:問題の設定
今回の問題は、プロジェクトで起きた事象を、様々なプロジェクト情報を元に考えたところ、『コミュニケーションマネジメントエリア』で起こっている問題として取り扱うことにした。
そして、『リスク影響度が分からずプロジェクトが停滞』、このように問題を設定した。
STEP2:原因の究明
この問題は、スケジュール目標であるリリース日を逸脱している。
そこでPMOの私は、原因の仮説を立て検証を行った。
【原因の仮説】
(1)計画した結合テストの所要期間に含めたバッファー期間が間違っている
(2)クライアントとのコミュニケーションパスが存在しない
(3)リスク管理がされていない
結果は、以下の通りとなった。
【仮説の検証】
(仮説1)計画した結合テストの所要期間に含めたバッファー期間が間違っている
▷有識者の算出した結合テストの所要期間に含めたバッファー期間も計画と同じだったか?
➡︎YES
(仮説2)クライアントとのコミュニケーションパスが存在しない
▷プロジェクト計画書にコミュニケーションルールの記載があったか?
➡︎YES
(仮説3)リスク管理がされていない
▷リスク管理表、議事録、メール等にリスク情報の記録や回避策が残されていたか?
➡︎NO
問題の根本的な原因は、『仮説3』と判明した。また、プロマネ初心者の佐藤は、全くリスク管理を行わずメンバーからのアラートによって、リスクであると把握したことが分かった。そして、そのリスクに対する影響度を理解していなかった。
STEP3:解決策
この問題を放置することは、デスマーチプロジェクトの危険があるため、PMOの私は解決策を3つ考え、プロジェクトオーナーの山田と協議した。
【解決策の候補】解決策A:
プロジェクトを中断して、結合テスト工程以降のリスクを全てリスク管理表に整理する。
解決策B:
結合テストの不具合がトリガーになるリスクを洗い出して影響度の高いリスクを回避する。
解決策C:
結合テスト工程以降のリスクを全て洗い出して影響度を決めてから、結合テストを改めて開始する。
調査の結果から、全くリスク管理を行わずメンバーからのアラートによって、リスクであると把握したことが分かっている。その状況をプロジェクトオーナーの山田へ説明し、山田の意向を踏まえ解決策を決定した。
【採用した解決策と採用の根拠】
山田の意向は、影響度の高いリスクを回避することに問題はないとの見解であった。しかし、リリース日の延期は避けて欲しいとの要望があり、『解決策B』を採用した。
【解決策の実行に伴うダメージ】
また、今回の解決策を実施したことで、ITベンダーにリスクの影響度調査による工数が30%超過した。
今回の問題における原因は、リスク管理がされていなかったということである。
今後、このような事態を避けるために、以下を教訓とした。
【教訓】
(1)プロジェクト計画で可能な限り、全工程で発生し得るリスクを、リスク管理表に記載する。
(2)進捗確認のタイミングで計画と実績の乖離からリスクを測定し、リスク管理表に記載する。
STEP4:リスク管理表の作成
最後に、今回プロジェクトで起こった問題を課題問題整理表に記述し、今後のプロジェクトの教訓として役立てるためにリスク管理表に記述した。
このリスク管理表は、ITベンダーのプロジェクト情報として保管され、他チームへの情報共有として利用することになった。
最後まで、読んで頂き有難うございました。
今後の貴方のプロジェクト活動の参考になれば幸いです。
このトラブルプロジェクトは私が対応しました!