『絶対に間違ってはいけないアサインタイミング』この方法を知ればQCDに異常なし!
メンバーの着任タイミングを間違えると大きなトラブルになります!
メンバー投入のタイミングが来たときに計画に従っても、最初の段階はメンバーのパフォーマンスが上がらずに、作業遅延が発生することがあります。
挙げ句の果ては、アサインされたメンバーの『スキル不足』と決めつけて、メンバーの交代によって解決しようとするプロマネが多いのも事実です。
しかし、パフォーマンスが上がらない真の原因は、『キャッチアップ期間(プロジェクトに慣れるまでの助走期間)』を考慮していないからです。
そのためにも、キャッチアップ期間の算出方法は習得しておかなければなりません。
意外にも、これを習得していないPMが多いって、ご存知でしょうか?
■今回のテーマ
プロジェクト計画における『体制の構築』の検討の中で、『キャッチアップ期間を考慮せずアサインタイミングを計画した』ことにより、『スケジュールが遅延する』という問題が起こりました。
この問題を取り上げて、原因の追求、解決策、リスク対策を解説していきます。
※プロジェクト検証の結果をお伝えするにあたり、架空の企業である「株式会社XYZ」での出来事として紹介します。
prologue
【プロジェクト状況】
現在のプロジェクトは、詳細設計工程である。当該工程の所要期間を20%消化した時点で、クライアント窓口の木村の回答は『新規メンバーがアサインされたが、スケジュール遅延が発生している、早期にリカバリーして欲しい』と要望された。
プロマネの佐藤は、状況の把握をしていますが、具体的な問題が分かっていない。
そのため、PMOの私へサポートを求めてきた。
(以降のSTEP1-STEP4はPMOが実施した)
STEP1:問題の設定
そして、『メンバーのキャッチアップ不足でスケジュールが遅延する』、このように問題を設定した。
STEP2:原因の究明
この問題は、スケジュール目標であるリリース日を逸脱している。
そこでPMOの私は、原因の仮説を立て検証を行った。
【原因の仮説】
(1)プロジェクトで必要とされるスキルが間違っている
(2)新規メンバーのスキルがプロジェクトで必要とされるスキルに合致しない
(3)新規メンバーのキャッチアップ期間が短い
結果は、以下の通りとなった。
【仮説の検証】
(仮説1)プロジェクトで必要とされるスキルが間違っている
▷有識者が確認したスキルも同じであったか?
➡︎YES
(仮説2)新規メンバーのスキルがプロジェクトで必要とされるスキルに合致しない
▷有識者は、メンバーのスキルがプロジェクトで対応可能との判断であったか?
➡︎YES
(仮説3)新規メンバーのキャッチアップ期間が短い
▷プロジェクト成果物や関連するシステムを理解するのに十分な期間であったか?
➡︎NO
問題の根本的な原因は、『仮説3』と判明した。また、プロマネ初心者の佐藤は、キャッチアップ期間の算出方法を知らないことから勘に頼り、新規メンバーのアサインタイミングを計画したことが分かった。
STEP3:解決策
この問題を放置することは、デスマーチプロジェクトの危険があるため、PMOの私は解決策を3つ考え、プロジェクトオーナーの山田と協議した。
【解決策の候補】
解決策A:
新規メンバーのキャッチアップが終了してから、改めてプロジェクト計画を見直す。
解決策B:
正当なキャッチアップ期間を設けるように、計画よりも前倒しで新規メンバーをアサインする。
解決策C:新規メンバーのアサイン計画の変更は行わず、リリース日を延期する。
調査の結果から、キャッチアップ期間の算出方法を知らないことから勘に頼り、新規メンバーのアサインタイミングを計画したことが分かっている。
その状況をプロジェクトオーナーの山田へ説明し、山田の意向を踏まえ解決策を決定した。
【採用した解決策と採用の根拠】
山田の意向は、正当なキャッチアップ期間を設けるように、計画よりも前倒しで新規メンバーをアサインすることに問題はないとの見解であった。
しかし、リリース日の延期は避けて欲しいとの要望があり、『解決策B』を採用した。
【解決策の実行に伴うダメージ】
また、今回の解決策を実施したことで、ITベンダーに計画よりも前倒しで新規メンバーをアサインすることによる工数が30%超過した。
今回の問題における原因は、新規メンバーのキャッチアップ期間が短かったということである。
今後、このような事態を避けるために、以下を教訓とした。
STEP4:リスク管理表の作成
最後に、今回プロジェクトで起こった問題を課題問題整理表に記述し、今後のプロジェクトの教訓として役立てるためにリスク管理表に記述した。
このリスク管理表は、ITベンダーのプロジェクト情報として保管され、他チームへの情報共有として利用することになった。
最後まで、読んで頂き有難うございました。
今後の貴方のプロジェクト活動の参考になれば幸いです。
このトラブルプロジェクトは私が対応しました!