『既存資産(システム)の流用』失敗しないための効果的なポイント
既存資産の流用は事前調査をしっかり行なってから取り入れるかを考えてください。
✅既存資産の流用を試そうと思っている方
✅PJリスクを集めているPMやPMO
✅プロマネ初心者を抱える管理者
にお伝えしたいプロジェクトリスクの情報です。
昨今のプロジェクトは、開発期間の短縮、予算の低減が強いられています。
プロジェクトマネージャーとしては、頭の痛い話です。
この時、一つのアイデアとしては、『既存資産の流用』です。
これは、プロジェクトのスケジュールやコストを最適にさせる効果がある反面、流用可否を調査せずに感覚に頼って流用した時ほどトラブルになるものです。
特に、業務仕様の流用は、多くの危険が潜んでいるものです。
意外にも、このことを知らないPMが多いって、ご存知でしょうか?
■今回のテーマ
プロジェクト計画における『スコープの明確化』の検討の中で、『既存資産の流用をする際に事前調査を怠った』ことにより、『既存資産の流用が出来ずコストオーバー』という問題が起こりました。
この問題を取り上げて、原因の追求、解決策、リスク対策を解説していきます。
※プロジェクト検証の結果をお伝えするにあたり、架空の企業である「株式会社XYZ」での出来事として紹介します。
prologue
【プロジェクト状況】
現在のプロジェクトは、基本設計工程である。
当該工程の最終日で、他社で同じようなプロジェクトを実施して得られた成果を流用できると考え見積もったが、一部の業務処理に流用できないことが分かった。
リリース日に間に合わせるに、プロマネ初心者の佐藤は『工数不足であるため追加予算』を依頼した。
しかし、クライアント窓口の木村の回答は『予算については既に合意していて、追加はできない。当初の計画通り進めて欲しい』と要望された。
プロマネの佐藤は、状況の把握をしていますが、具体的な問題が分かっていない。
そのため、PMOの私へサポートを求めてきた。
(以降のSTEP1-STEP4はPMOが実施した
STEP1:問題の設定
今回の問題は、プロジェクトで起きた事象を、様々なプロジェクト情報を元に考えたところ、『コストマネジメントエリア』で起こっている問題として取り扱うことにした。
そして、『既存資産の流用が出来ずコストオーバー』、このように問題を設定した。
STEP2:原因の究明
この問題は、コスト目標である予算を逸脱している。
そこでPMOの私は、原因の仮説を立て検証を行った。
【原因の仮説】
(1)流用のための調査工数が不足していた
(2)流用の調査を行うメンバーのスキルが不十分である
(3)流用を前提にしていたことから調査が不十分である
そして、仮説に対して調査を行い検証した。
【仮説の検証】
(仮説1)流用のための調査工数が不足していた
▷有識者の算出した調査工数も計画と同じだったか?
➡︎YES
(仮説2)流用の調査を行うメンバーのスキルが不十分である
▷調査メンバーは、類似案件の開発経験があったか?
➡︎YES
(仮説3)流用を前提にしていたことから調査が不十分である
▷調査結果報告書が残されているか?
➡︎NO
問題の根本的な原因は、『仮説3』と判明した。
また、プロマネ初心者の佐藤は、流用する資産を把握せず、流用ができると思い込み、メンバーへは曖昧な調査範囲を伝えていたことが分かった。
STEP3:解決策
この問題を放置することは、デスマーチプロジェクトの危険があるため、PMOの私は解決策を3つ考え、プロジェクトオーナーの山田と協議した。
【解決策の候補】解決策A:
一部の業務処理に合わせるように流用資産を無理やりカスタマイズする。
解決策B:
流用できない一部の業務処理を明確に断定して、改めて設計する。
解決策C:
流用できない一部の業務処理を明確に断定して、改めて設計する。また、基本設計期間の延長とリリース日の見直しを行う。
調査の結果から、流用する資産を把握せず、流用ができると思い込み、メンバーへは曖昧な調査範囲を伝えていたことが分かっている。
その状況をプロジェクトオーナーの山田へ説明し、山田の意向を踏まえ解決策を決定した。
【採用した解決策と採用の根拠】
山田の意向は、 流用できない一部を改めて設計することに問題はないとの見解であった。
しかし、リリース日の延期は避けて欲しいとの要望があり、『解決策B』を採用した。
【解決策の実行に伴うダメージ】
また、今回の解決策を実施したことで、ITベンダーに改めて設計することによる工数が30%超過した。
今回の問題における原因は、流用を前提にしていたことから調査が不十分であったということである。今後、このような事態を避けるために、以下を教訓とした。
【教訓】
(1)プロジェクト計画で資産を流用が適わなかった場合のコスト、スケジュールについてクライアントと合意する。
(2)プロジェクト計画で流用部分の適用可能性について評価する工程を設けて、評価結果に応じた進め方を事前に検討しておく。
STEP4:リスク管理表の作成
最後に、今回プロジェクトで起こった問題を課題問題整理表に記述し、今後のプロジェクトの教訓として役立てるためにリスク管理表に記述した。
このリスク管理表は、ITベンダーのプロジェクト情報として保管され、他チームへの情報共有として利用することになった。
最後まで、読んで頂き有難うございました。
今後の貴方のプロジェクト活動の参考になれば幸いです。
このトラブルプロジェクトは私が対応しました!